この秋、最低賃金がまた上がりそうです。いくら上がるかは、いま国で話し合っている最中です。
時給を上げるのは小さな店にはつらい。でも、その賃上げに合わせて機械や設備を買うと、代金の一部を国が出してくれる制度があります。
名前は「業務改善助成金(ぎょうむかいぜんじょせいきん)」。令和8年度(2026年度)は9月1日から申し込みが始まります。お店で一番低い時給が1,050円より下なら、設備代の「5分の4」が出ます。前もって計画を立てられる店には、賃上げの負担を軽くする手です。
予兆。 制度そのものは前からあります。でも「この秋、最低賃金が大きく上がりそう」と「賃上げに合わせた設備代を国が助ける制度が9月に開く」タイミングが、いま重なります。賃上げのお金に悩む小さな店が、この秋にこの制度へ目を向ける動きは増えそうです。
ただし手間や「先に買うと対象外」の制約もあり、すべての店に向くわけではありません。
はっきりしている事実は、次の3つです。
(1)去年(令和7年度)の最低賃金は、過去いちばんの上がり方だった。厚労省によると、去年は全国平均で1,121円。前の年(1,055円)より66円上がり、いまの仕組みが始まった昭和53年からいちばん大きい上げ幅でした(2025年9月5日発表)。
(2)今年(令和8年度)の最低賃金は、いま話し合っている最中。中央最低賃金審議会が2026年7月10日に2回目の会議を開きましたが、この記事の時点では金額は未定です。
(3)その賃上げに合わせて使える「業務改善助成金」が、今年は9月1日から申し込み開始。一番低い時給を50円以上上げ、仕事が速く・楽になる設備を買うと、設備代の一部(多くて600万円)を国が出す制度です。
おもな中身(今年のパンフレットより/事実):
(見立て) ここ数年の流れが続くなら今年もそれなりに上がりそうで、時給が最低賃金の近くの小さな店ほど秋に人件費が増えてつらくなります。この制度は「どうせ賃上げも設備も要るなら制度に乗せたほうが安い」と考える店を増やしそうです。時給の低い地方の小さな店ほど割合が5分の4になり、手厚い方向です。
※ ただし「今年いくら上がるか」はまだ未定。ここは見立てで、金額が決まるまでは当たるか分かりません。
(事実) この制度は「中小企業・小さなお店」だけが対象で、大企業やその系列は使えません。大手チェーンが使う制度ではありません。
(見立て) 大手は自分のお金や計画で賃上げ・省人化を進めやすい(PASSの前の記事「倒産は過去最多。なのに大手は出店を増やしている」も参照)。逆に、国の助けを使う余地が大きいのはお金の少ない小さな店。数少ない「小さな店に向けられたお金」です。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001693416.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74463.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63030.html
記者 安東 菜津
僕はこの秋、最低賃金が上がるのに合わせて、うちの時給を全体的に上げるつもりだ。正直、負担は軽くない。
この記事を読んで、賃上げと設備の買い物をセットにすると国が助けてくれる制度があることを、はじめて知った。しかも、前の記事で僕が「欲しい」と思った急速冷凍機と、そのまま線がつながった。急速冷凍機があれば、一度の仕入れを増やせて、仕込みの手間が減る。賃上げでかさむぶんを、どこかで取り返したい。この制度は、その最初の費用を軽くしてくれるかもしれない。
こういう補助金は、これまで使ったことがない。今回は、はじめて考えてみようと思っている。ただ、記事が言うとおり、お金は後払いだし、手続きも軽くはない。券売機はうちには要らないし、ほかの設備はもうある。だから僕がねらうのは、急速冷凍機ひとつ。身の丈で、慌てずに調べてみる。