人材2026.07.09拡大中

小型店が増える本当の理由は、家賃ではなく人かもしれない

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小型店や少人数のお店が増えています。理由は「家賃を切り詰めたいから」だと思われがちです。でも本当は、人が採れず、人件費も上がり続けているから、という面が大きいのです。

だから「お店を小さくする」判断は、席数から考えないほうがうまくいきます。「何人で・何時間で・どこまでの作業を回すか」という設計から入ると、失敗しにくくなります。

業態トレンド予報

拡大中。 国は「省力化投資」(かんたんに言うと、人手を減らす設備などへのお金)を後押ししています。大手も、少ない人数で回す仕組みを広げています。

これは数年で終わる流行ではありません。人口の変化に根ざした、これからも続く動きだと見ています。

何が起きているか

飲食は、ずっと人手不足が続く業種です。帝国データバンクの調査を見てみましょう。2025年10月の時点で、「飲食」の人手不足の割合は70.2%。全業種でいちばん深刻でした。

直近の2026年1月には、飲食店の非正社員の不足が58.6%(全業種2位)まで下がりました。3年連続で改善しているとされます。それでも、まだ高い水準が続いています(事実:帝国データバンク)。

採用の難しさは、数字にもはっきり出ています。政府の資料によると、有効求人倍率(かんたんに言うと、一人の求職者に何件の求人があるか)は、飲食店店長で10.0倍、調理で5.0倍、接客で2.9倍でした。

さらに、飲食業で働く人の78%はパートです。約400万人を雇っています。その一方で、労働生産性(一人あたりが生み出す成果)は、長い目で見ると下がってきました(事実:農林水産省・厚生労働省)。

なぜ今なのか

人が採りにくいだけではありません。一人あたりの人件費も上がっています。 2025年度の最低賃金は、全国の加重平均で1,055円から1,118円に上がりました。過去最大級の引き上げです。これで、すべての都道府県で1,000円を超えました(事実:中央最低賃金審議会)。

パートで働く人の多い飲食店は、この値上がりの影響を直接受けます(推測)。

つまり、「人が足りない」と「一人が高い」が同時に起きているのです。この二つが重なると、お店は自然と「少ない人数で回る形」に近づいていきます。

家賃が高いか安いかよりも先に、人の制約が業態を決めている。そういう見方ができます(推測)。

大手はどう動いているか

大手は、省人化(人手を減らす仕組み)で対応しています。政府資料には、こんな事例が載っています。配膳ロボットを入れて席の使い方を変え、回転率を上げる。セルフオーダーを入れて、店舗管理を3〜4人から2人に減らす。

国も動いています。飲食業の労働生産性を2029年度までに35%上げる目標を掲げ、省力化投資を後押ししています(事実:農林水産省・厚生労働省)。

小さな飲食店にどう関係するか

関係する店

次のようなお店には、「小さくする=省人化する」という判断が効きやすいです。

  • 採用に苦労している店
  • 店主やごく少人数に、仕事の負担が集中している店
  • ピークの時間だけ人が足りない店

関係しない店

反対に、次のようなお店では効きにくいです。

  • すでに家族や決まったメンバーで、安定して回っている店
  • 席数が少ないと、そのまま客単価の低さにつながってしまう立地の店

こうしたお店では、むやみに縮小すると、売上の上限だけを下げてしまいます。

真似しない方がいい部分

大手の省人化には、前提があります。配膳ロボット、セルフレジ、調理ロボットなど、まとまった初期投資と、それに合わせた店舗設計です。

小さな店が同じ機器をそのまま入れても、席数や客数が違います。だから、かけたお金を回収できないことが多いのです(推測)。

「機械を入れる」より先に、「工程を減らす・並べ替える」。そのほうが、小さな店には効きます。

反対意見・失敗の可能性

  • お店を小さくすると、入れられる客数の上限が下がります。単価を上げられない立地では、売上が減ることもあります。
  • ワンオペは店主一人に頼る形です。体調を崩すと、すぐに休業のリスクになります。「小さくする」は、強さと弱さが裏表なのです。
  • 人手不足は、直近では改善に向かっています(帝国データバンク)。「人が主な理由」と強調しすぎると、読み違えることもあります。

予報の確度

中〜高。 人手不足、有効求人倍率、最低賃金。この三つは、それぞれ別々の一次情報です。その三つが同じ方向を指しているので、方向性の確かさは高いと言えます。

ただし、「家賃より人が主な理由」という言い切りは、お店の立地によって変わります。だから、地域による差の検証はまだ残っています。

情報源・確認日を見る

記者 安東 菜津

編集長手記

この記事は、小型化の本当の理由は家賃より人かもしれない、と書いている。うちのもったいない食堂でも、一番の制約はやっぱり人だ。だから他人事としては読めなかった。

僕には一つ物差しがある。「一人分の作業を減らせるなら、その人のひと月分の給与くらいまでは初期費用を出す」。回収の目安は1か月。この基準があると、流行りの機械を勧められても「それで消える手間は月いくらの人件費か」で落ち着いて考えられる。

もう一つ、僕自身は現場のオペレーションに入っていない。だから「店主が身を削ってワンオペにする」という方向はそもそも取れないし、取りたくもない。省人化を「誰かが我慢する」話にしないことが、続く店の条件だと思っている。

この記事を読んで、自分が普段バラバラにやっている判断が、「人が制約を決めている」という一本の背骨でつながっていたんだと気づけた。僕もまだ、一本ごとに学んでいる。

編集長 西村まさゆき
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